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『涙をとどけて』 スティーヴィー・ワンダー
スティーヴィー自身のプロデュースによる70年作品。「涙を届けて」、「ヘヴン・ヘルプ・アス・オール」、ビートルズのカヴァー「恋を抱きしめよう」が大ヒット。
1. 夢の中の君
2. 恋を抱きしめよう
3. 涙をとどけて
4. ヘヴン・ヘルプ・アス・オール
5. 表紙で本はわからない
6. シュガー
7. ドント・ワンダー・ホワイ
8. あなたのためなら
9. マイ・ヘヴン・ウォーク・アウェイ
10. ジョイ
11. 歌がなければ
12. サムシング・トゥ・セイ
70年代の第一弾となるアルバム。
当時20歳を迎えたスティーヴィーは、モータウンと2度目の契約更新をし、
自作のプロデュース権を獲得している。
つまり、『涙をとどけて』はスティーヴィーにとって、
アーティストとしての部分を全面的に発揮することを許された初のアルバムである。
サウンド的にも60年代のソウルシンガーとしてのそれから、
70年代のクリエイティブなファンク系の音へのターニング・ポイントとなっている。
このような背景から、アルバムとしてはややまとまりのなさが目立ち、
60年〜70年代の作品群の中では、印象の弱いものといえる。
それでも、アルバムタイトル曲「涙をとどけて」は米ヒットチャートのポップ部門第3位、R&B部門第1位、
そして「ヘヴン・ヘルプ・アス・オール」 は同チャートのポップ部門第9位、R&B部門第2位、
という大ヒットを記録している。
そして、なんと言ってもビートルズの「恋を抱きしめよう」をカバーしているのが大きな特徴。
スティーヴィーは、ソウルフルにかなりフェイクして歌い上げている。
ビートルズ・バージョンは、サビでリズムが三連符にチェンジするという革新的なアレンジがされていたが、
スティーヴィー・バージョンはそのままのリズムで演奏されている。
オリジナルを知っている人は、このあたりいささか物足りなさを感じてしまうかもしれない。
ということで、この曲ではオリジナルのビートルズバージョンの勝利といえそうだ。
ともかく、このアルバムでも、若干20歳とは信じられないほどの歌唱力の成長振りを見せている。
さらに次作以降では、作曲、プロデュースでも恐ろしいまでの才能を見せ付けられることになるのだ。
投稿者 SAKAKI : 2006年11月01日 15:22
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