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2006年11月28日

『Tea Party-卒業記念-』 薬師丸ひろ子

『Tea Party-卒業記念-』 薬師丸ひろ子
●1988年3月9日収録 「夜のヒットスタジオ DELUXE」 卒業記念ライブ
1988年06月25日発表(国内ビデオ)。
※海外正規DVD



■曲目リスト
1.元気を出して
2.アフタヌーン・ティー
3.紅い花、青い花
4.ステキな恋の忘れ方(「野蛮人のように」より)
5.DISTANCE
6.メイン・テーマ
7.Woman(「Wの悲劇」より)


フリマを散歩してたら薬師丸ひろ子のTea PartyのDVDを発見したので、
ゲットしてきました。
台湾の正規版(らしい)ですが日本語です。
国内はDVD版はでてないので見つけてちょっと嬉しかった。
ちなみに、中山美穂の「Catch Me」とカップリングされてます。

『Tea Party-卒業記念-』 薬師丸ひろ子 プレビュー

内容は「夜のヒットスタジオ」出演時のライブで、
いきなり番組のオープニング部分から始まります。

アレンジ、指揮、ピアノの演奏を服部克久さんが担当していて、
バックはオーケストラと豪華。

スタジオライブということもあり、普通のホールライブではあまりやらない?
と思える「アフタヌーン・ティー」「紅い花、青い花」なんかもやってくれます。
曲間のMCでは、大学の授業でのエピソードなんかも聞ける。
すごい真面目な人なんだなぁ・・と思いました

「新しいLPのために、大胆にも新曲を作りました。」
と紹介をして「DISTANCE」の演奏がスタート。
レコーディングから初めて歌うこの曲、
本人が作ってることもあって、薬師丸さんのメージにぴったりの曲です。

エンディングはやっぱり「Woman」。。
オーケストラがマッチしてて、アルバムバージョンより広がりがあってかなり良いです。
感情もこもってて、個人的に「Woman」のベストテイク。

演奏後に感極まって涙を流す薬師丸さんの姿は、印象的です。


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2006年11月13日

『ライヴ・アット・ザ・BBC』 フリー

ライヴ・アット・ザ・BBC

●フリーがBBCに出演した際の音源の2枚組CD。
BBC用に初めてセッションをした68年から71年までの音源を主に収録。
ポール・コゾフのアーカイヴから発掘されたという69年12月の『Top Gear』はブートでも未リリース!
2006/11/1発表。



[Live At The BBC試聴]

■ディスク:1
1. ウェイティン・オン・ユー
2. シュガー・フォー・ミスター・モリソン
3. アイム・ア・ムーヴァー
4. オーヴァー・ザ・グリーン・ヒルズ
5. ソングス・オブ・イエスタデイ
6. ブロード・デイライト
7. ウーマン
8. アイル・ビー・クリーピン
9. トラブル・オン・ダブル・タイム
10. マウスフル・オブ・グラス
11. オール・ライト・ナウ
12. ファイアー・アンド・ウォーター
13. ビー・マイ・フレンド(テイク1)
14. ビー・マイ・フレンド(テイク2)
15. ライド・オン・ポニー(テイク1)
16. ライド・オン・ポニー(テイク2)
17. ライド・オン・ポニー(テイク3)
18. ライド・オン・ポニー(テイク4)
19. ライド・オン・ポニー(テイク5)
20. ゲット・ホエア・アイ・ビロング
■ディスク:2
1. ザ・ハンター
2. ウーマン
3. フリー・ミー
4. リメンバー
5. ファイアー・アンド・ウォーター
6. ビー・マイ・フレンド
7. ライド・オン・ポニー
8. ミスター・ビッグ
9. ドント・セイ・ユー・ラヴ・ミー
10. ウーマン
11. オール・ライト・ナウ


DVDと同時発売されたので同時にGET。
一部はオリジナルアルバムのボーナストラックに収録されていたが、
はじめて聞く音源のほうが多くて貴重。。

ライナーノーツを見ると、BBCで録音されたテープは、
保管場所の都合で多くが抹消されてしまっているそうだ。
(もったいない・・・)
本作で使用されているテイクの中には、
ポール・コゾフの個人コレクションのほか、
ファンがラジオをマイクで録音したものまである。

そんなわけで2枚目はかなり音悪いです。
ブートなみの音ですな・・・(汗
ボーナスCDとでも思っておけば、得した気分で聞けそう。


聞き所は5テイクも収録されている「ライド・オン・ポニー」。
レコーディングの過程が垣間見れるのが楽しいし、
ポール・ロジャースのボーカルの違ったフェイクが楽しめる。
ほんと、彼のボーカルはノリノリですごい。
10回歌ったら10通りに歌いそうだ。。

個人的には「ゲット・ホエア・アイ・ビロング」「リメンバー」のライブテイクが
聴けたのが嬉しい(でも両方フェイドアウト・・・泣)。

アルバムのレコーディング前に、BBCで録音されている曲があるのにも、
ちょっとびっくりでした。


このCDを聞いて再度思った・・
「フリー時代のロジャースは神がかり的だ」


2006年11月11日

『フリー』 フォーエヴァー

フォーエヴァー

●初期のハードロックを形成した“フリー”の1969年の結成から1973年の解散までの醍醐味を堪能できるDVD作品。
2006/11/1発表。



■ディスク 1
Beat Club, Germany 1970
1 Mr Big
2 Fire And Water
3 All Right Now

Doin’ Their Thing, Granada TV, 24th July 1970
4 Ride On Pony
5 Mr Big
6 Songs Of Yesterday
7 I’ll Be Creepin’
8 All Right Now

Original Videos
9 All Right Now
10 The Stealer
11 My Brother Jake
12 Love You So
13 Wishing Well

■ディスク 2
Isle Of Wight - 30th August 1970 (audio)
1 Ride On Pony
2 Woman
3 The Stealer
4 Be My Friend
5 Mr Big
6 Fire And Water
7 I’m A Mover
8 The Hunter

届きました。
フリーのライブ&インタビューDVD。
ケースが透明で清潔感があっていい。

個人的には、演奏シーンは既に持ってる映像がほとんどなのだが、
インタビューが最新のと1970年のが入ってるのが良かった。
でも、これ見るとみんな年取ったなぁ。。


25歳の若さでオーバードーズで命を落としたコゾフ。
彼が話してる姿は貴重だ。
麻薬でぼろぼろになってるコゾフを、フレイザーが自分の家に連れて行って
何とかしようとしたけど、救えなかったといった話も聞ける。


演奏部分では、ワイト島フェスティヴァルが、
各カメラを単体で再生できる。
オーディオのみだが、今回初めて全曲聞けます。
(できればCDで出してほしかった)
映像はビー・マイ・フレンド、ミスター・ビッグ、オール・ライト・ナウの
3曲しか残ってないみたいで残念。


コゾフが感情を込めて、顔を歪めてギターを弾く姿はすごい。
フリーの映像をもってない人は迷わず買いです。
持ってても買ってよかったけど・・('-'*)フフ


2006年11月06日

『Love Collection 1981-2000』 薬師丸ひろ子

Love Collection 1981-2000

●テレビ朝日系全国ネットで放送中の、本人主演『恋愛中毒』の主題歌「Love#holic」を含むコンプリート・ベスト。薬師丸ひろ子自らの選曲でライナーノーツも本人が執筆。
2000年04月19日発表。



■曲目リスト
1. セーラー服と機関銃
2. 探偵物語
3. メインテーマ
4. 「Wの悲劇」より~WOMAN
5. 元気をだして
6. ステキな恋の忘れ方
7. 紳士同盟
8. DISTANCE
9. A LOVER’S CONCERTO
10. 交叉点
11. 恋文
12. 再会橋
13. smile スマイル smile
14. 金色の麦畑
15. Love holic(アナザー・ミックス・ヴァージョン)
16. 風に乗って(ニュー・ヴァージョン)


長澤まさみ主演で「セーラー服と機関銃」がリメイクされていますが、
主題歌を聞いてたら、薬師丸ひろ子が聴きたくなった。

何よりもあの透明感のある声がいい。
天性のものなんでしょうけどね。癒される・・

「探偵物語」「WOMAN」は名曲です。


編集盤がいくつか出ていて試聴してみたら、
「セーラー服と機関銃」がリメイクなのか、
どれも知っているのとアレンジが違う。

普通にシングルをそのまま揃えたようなのが無いのね・・・(ノ△・。)
発売する側の感覚がイマイチ理解できませんが、
希少価値を出そうということなんでしょうか。
(どうもライセンスが違うのが大きな要因みたいです・・・)

とりあえずラブ・コレクションにだけ、
オリジナルバージョンが入ってるのを発見して購入しました。

知ってるのは(薬師丸バージョンで)4曲目まで、
小さい頃に聞いた覚えがあって、懐かしい。
「ライナーノーツも本人が執筆」・・と書かれてますが、
自分が買ったものは歌詞のみでした・・・もしかしたら初回特典なのかも。


「セーラー服と機関銃」を聞いてみて、
やっぱり歌唱力はアイドルレベルという感じでしたが、
声からは、すばらしい原石を感じ取れます。
当時はまだ、17歳ですからね・・・
↑かわいすぎる('-'*)フフ
 

1年半のブランクの後「探偵物語」を発表。
歌、、すごい良くなってます。
澄みわたるような透明な声は、今聴いても心地よい。

今回初めて聞いた曲では、「DISTANCE」が印象的でした。
驚くことに作詞作曲が、薬師丸ひろ子さん本人です。

サビでテンポチェンジして、シャッフルになるところなんて、
すごくおしゃれですね。
最後のサビの繰り返しでは、
2回目がウィスパー系の歌い方をいてていて、これがまたすごく綺麗!
綺麗だー!(ρ゚∩゚)

本人作曲ということを忘れても、彼女の代表曲に入れたい1曲です。


他の曲も、聞けば聞くほどハマります。

「金色の麦畑」は、S.E.N.S.と薬師丸ひろ子の三人による「S.E.N.S. of Y」のアルバム、
『Terra Firma』収録曲。
Terra Firma』
TBS系21世紀プロジェクト,中国秘宝の旅『故宮大長征』のテーマ曲だそうです。

壮大な雰囲気で、宮崎駿の映画なんかにも合いそうですね。


2006年11月04日

『キー・オブ・ライフ』 スティーヴィー・ワンダー

キー・オブ・ライフ(Songs in the Key of Life)/スティーヴィー・ワンダー(STEVIE WONDER)
スティーヴィー・ワンダー(STEVIE WONDER)

76年発表、クラシックとしての風格さえ漂う、彼の最高傑作とされる2枚組大作。とにかく単純に魅力的な曲が、これでもかと詰まっているすばらしいアルバム。
不思議な旋律や深遠な愛を描く名曲が収められている。

■ディスク:1
1. ある愛の伝説
2. 神とお話し
3. ヴィレッジ・ゲットー・ランド
4. 負傷(コンチュージョン)
5. 愛するデューク
6. 回想
7. 孤独という名の恋人
8. 楽園の彼方へ
9. 今はひとりぼっち
10. 出逢いと別れの間に
■ディスク:2
1. 可愛いアイシャ
2. 涙のかたすみで
3. ブラック・マン
4. 歌を唄えば
5. イフ・イッツ・マジック
6. 永遠の誓い
7. アナザー・スター
8. 土星
9. エボニー・アイズ
10. 嘘と偽りの日々


1976年に発表し、グラミー賞を総なめにしたポピュラー音楽の歴史に残る大名盤。
当時は2枚組LPプラス4曲入りEP盤という形でリリースされ(現在は2枚組みCD)、
14週連続全米1位を記録した怪物アルバムだ。


“70年代4部作”でファンク色を強め、神がかり的なアルバム『インナーヴィジョンズ』を送り出したスティーヴィーだが、
この『キー・オブ・ライフ』ではそのファンク色はやや影を潜め、落ち着いたR&Bテイストのアルバムに仕上げている。
なんとなく80年代以降のスティーヴィーのイメージにも重なる。


一説には『キー・オブ・ライフ』制作中には3000曲を作り、700曲を録音したとも言われるように、
インストゥルメンタルナンバーを含む様々なタイプの曲が収録されており、創作意欲に溢れた内容となっている。


「回想」「愛するデューク」「アナザー・スター」「永遠の誓い」がシングルカットされているが、
シングルカットされていない「可愛いアイシャ」などもポップで、彼の代表曲として親しまれている。


ビートルズを意識して作ったという曲もあるようで、ビートルズに大きな影響を受けていたことがわかる。

ストリングスを使ったアレンジ、アルバムとしてのトータル性では、
『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』。
アルバムのボリューム、様々なタイプの曲という点で『ホワイトアルバム』、
サウンドの完成度の高さでは『アビイ・ロード』といった
ビートルズのアルバムをあわせ持ったような名盤もいえるかもしれない。



『ファースト・フィナーレ』 スティーヴィー・ワンダー

ファースト・フィナーレ(Fulfillingness' First Finale)/スティーヴィー・ワンダー(STEVIE WONDER)
スティーヴィー・ワンダー(STEVIE WONDER)

前作『インナーヴィジョンズ』を発表した1973年、スティーヴィー・ワンダーは交通事故で、生死をさまよう程の瀕死の重傷を負う。彼はその時、神の存在を強く感じたとコメント、復帰作となるこの作品は、その時の彼の心境を反映したような、今までにはないタイプの、神秘性の漂う曲が多く収録された名作となった。

1. やさしく笑って
2. 1000億光年の彼方
3. トゥー・シャイ
4. レゲ・ウーマン
5. クリーピン
6. 悪夢
7. 愛あるうちにさよならを
8. 聖なる男
9. 美の鳥
10. プリーズ・ドント・ゴー


1974年に重厚なタイトルをもつファンク&ソウルアルバムである本作がリリースされたころ、
スティービー・ワンダーは次から次へと作品を発表していた。

本作でもいつも通り、ワンダーはストレートなラブソングに思いがけない肌触りと深みを与えている。
心揺さぶるピアノ・バラード「Too Shy to Say」では恋に気後れする気持ちを歌い、「君とともに飛び去りたい、もうこれ以上ふたりですることがなくなるまで」という1節は、ワンダーがこれまで歌ったなかで最も悲しいフレーズと言える。

また、ゆがんだファンクンナンバー「Boogie On Reggae Woman」やリチャード・ニクソン大統領を非難する怒りに満ちた「You Haven't Done Nothin'」のようなより激しいナンバーは、アルバムのトータル感を損なうことなく緊迫感をもたらしている。


『インナーヴィジョンズ』 スティーヴィー・ワンダー

インナーヴィジョンズ(Innervisions)/スティーヴィー・ワンダー(STEVIE WONDER)
スティーヴィー・ワンダー(STEVIE WONDER)

グラミー賞最優秀アルバム賞受賞!全米アルバム・チャート最高位4位を記録した大ヒット・アルバムで不朽の名作!(1973年リリース作品)

1. トゥ・ハイ
2. 愛の国
3. 汚れた街
4. ゴールデン・レディ
5. ハイアー・グラウンド
6. 神の子供たち
7. 恋
8. くよくよするなよ
9. いつわり


社会的テーマを扱った問題作にして最高にポップなアルバムで、一般的に言う“70年代4部作”の第2弾。モータウンの呪縛から解き放たれた天才が、溢れ出る表現欲求を注ぎ込んだ偽り無きドキュメント。神懸り的に凄い!


2006年11月03日

『トーキング・ブック』 スティーヴィー・ワンダー

トーキング・ブック(Talking Book)/スティーヴィー・ワンダー
スティーヴィー・ワンダー(STEVIE WONDER)

誰もが一度は耳にしているであろう「サンシャイン」、ジェフ・ベックのために書かれた「迷信」などスティーヴィーの代表曲が数多く収録されている音楽史に輝くモンスター・アルバム。

1. サンシャイン
2. メイビー・ユア・ベイビー
3. ユー・アンド・アイ
4. チューズデイ・ハートブレイク
5. バッド・ガール
6. 迷信
7. ビッグ・ブラザー
8. ブレイム・イット・オン・ザ・サン
9. アナザー・ピュア・ラヴ
10. アイ・ビリーヴ


1972年にリリースされた17枚目のアルバム『トーキング・ブック』は
3部作の第1作目となると同時に80年まで続くスティーヴィー全盛期の幕開けとなる傑作だ。
前作『心の詩』と同じくセルフプロデュース。
クレジットされているゲストミュージシャンを省くすべての楽器を自ら手がけている。


シンングルカットされた「1. サンシャイン」「6. 迷信」はともにチャートのトップに、
さらに73年のグラミー賞で5部門を制覇するなどスティーヴィーにとっても記念碑的作品なのである。


サウンド的には、「迷信」に代表するファンキーなクラヴィネットが特徴的。
この曲をライブでやる時には、スティーヴィーが歌いながら
まるで打楽器のようにクラヴィネットを演奏する姿が見られる。
ここまで完璧なリズムで弾きこなせるのはやっぱりすごい。
コンピューターによる打ち込みが当たり前になっている今では、
こういう演奏ができる人はいないでしょうね。


ファンクからバラードまで色々なサウンドが満遍なく楽しめるが、
アルバムのトータリティとしては、ファンク色全開の次作『インナーヴィジョンズ』で1つの頂点を迎える。



■「迷信(Superstition)」


『心の詩』 スティーヴィー・ワンダー

心の詩(Music of My Mind)/スティーヴィー・ワンダー
スティーヴィー・ワンダー

1972年の『トーキング・ブック』から『キー・オブ・ライフ』までが、スティーヴィー・ワンダーの怒涛の才能が爆発した時期の傑作群として知られているが、これはその前夜に製作されたアルバム。とはいえクオリティ的には、それらの傑作に決して劣らない出来。自らの音楽的なアイデンティティを確立した1枚と言える。

1. ラヴ・ハヴィング・ユー・アラウンド
2. スーパーウーマン
3. アイ・ラヴ・エヴリ・リトル・シング
4. スウィート・リトル・ガール
5. 輝く太陽
6. ガール・ブルー
7. シームズ・ソー・ロング
8. キープ・オン・ランニング
9. 悪魔


通算16枚目のオリジナルアルバムとなる『心の詩』は、
プロデュースはもちろん、作曲、楽器演奏を含め、ほとんど全てを1人でやってのけた、
スティーヴィー黄金の70年代の幕開けを告げる作品。

『ファースト・フィナーレ』までのいわゆる4部作のスタートだ。

巨大なシンセサイザーを持ち込んだ音作りにはまったスティーヴィーは、
レコーディングにのめりこみ、その費用だけでも25万ドル近くかかったと言う。
制作をはじめた1年後には、完成したリズムトラックは35曲に及んだ。
その中から生まれたのが本作『心の詩』なのだ。

サウンド的にも、スティーヴィー流のファンク、シンセサイザー、
瞬間的に転調するリフなど、『インナーヴィジョンズ』への布石ともいえる内容。


特に【1】ラヴ・ハヴィング・ユー・アラウンドは、ファンキーで最高。
【5】 輝く太陽や【6】ガール・ブルーなども
『インナーヴィジョンズ』に入っていてもおかしくない曲だ。

じっくりと聞かせる【2】スーパーウーマン、壮大な【9】悪魔もすばらしい。


一般的にはマイナーなアルバムだが、
ベストアルバムにあげる人もいるほど完成度の高いアルバムだ。

個人的には、次の『トーキング・ブック』『インナーヴィジョンズ』には及ばないとは思っているが、
スティーヴィー全盛期を告げる1枚であることは間違いないだろう。


2006年11月02日

『青春の軌跡』 スティーヴィー・ワンダー

青春の軌跡(Where I'm Coming From)/スティーヴィー・ワンダー
スティーヴィー・ワンダー

71年発表のアルバム。全曲が当時の妻であったシリータ・ライトと共作で、大ヒット曲「愛してくれるなら」では彼女とのデュエットを披露している。全体的に美しい楽曲が印象的な作品。

1. ルック・アラウンド
2. 気がむくままに
3. あなたの兵士
4. 悲しみの中から
5. 愛してくれるなら
6. 打ち明けたい
7. 幸福への道
8. 夏に消えた恋
9. 瞳の中の太陽


1971年に録音された『青春の軌跡』では、
ソングライター、アレンジャー、プロデューサーとして自己主張できる立場を獲得。

スティーヴィーは70年、前アルバムタイトル曲「涙をとどけて」を共作したシリータ・ライトと結婚する。
残念ながら長くは続かず翌71年には離婚しているのだが・・。
このアルバムでは、収められた9曲すべてをシリータ・ライトと2人で共作している。
そのシリータのコーラスも所々で聞ける。


実験的な感触のアルバムで、散漫な印象もぬぐえないが、
アルバム全体から、これまでできなかったことを自由にやっている感じが伝わって、
聞く側を楽しくさせてくれる。

1曲目「ルック・アラウンド」のシンセサイザーのイントロから、
このアルバムがこれまでとは全く違うことを宣言しているようで印象的だ。

続く「気がむくままに」では、ファンキーなクラヴィネットをフィーチャー。
後に発表するアルバム『トーキング・ブック』『インナーヴィジョンズ』に繋がるようなアレンジが気持ち良い。


このアルバムを機に次のアルバムでは更にファンク色を増して、
すごい世界へ向かっていくことになるのでした。


2006年11月01日

『涙をとどけて』 スティーヴィー・ワンダー

涙をとどけて(Signed, Sealed And Delivered)
スティーヴィー・ワンダー

スティーヴィー自身のプロデュースによる70年作品。「涙を届けて」、「ヘヴン・ヘルプ・アス・オール」、ビートルズのカヴァー「恋を抱きしめよう」が大ヒット。

1. 夢の中の君
2. 恋を抱きしめよう
3. 涙をとどけて
4. ヘヴン・ヘルプ・アス・オール
5. 表紙で本はわからない
6. シュガー
7. ドント・ワンダー・ホワイ
8. あなたのためなら
9. マイ・ヘヴン・ウォーク・アウェイ
10. ジョイ
11. 歌がなければ
12. サムシング・トゥ・セイ


70年代の第一弾となるアルバム。
当時20歳を迎えたスティーヴィーは、モータウンと2度目の契約更新をし、
自作のプロデュース権を獲得している。
つまり、『涙をとどけて』はスティーヴィーにとって、
アーティストとしての部分を全面的に発揮することを許された初のアルバムである。
サウンド的にも60年代のソウルシンガーとしてのそれから、
70年代のクリエイティブなファンク系の音へのターニング・ポイントとなっている。

このような背景から、アルバムとしてはややまとまりのなさが目立ち、
60年〜70年代の作品群の中では、印象の弱いものといえる。


それでも、アルバムタイトル曲「涙をとどけて」は米ヒットチャートのポップ部門第3位、R&B部門第1位、
そして「ヘヴン・ヘルプ・アス・オール」 は同チャートのポップ部門第9位、R&B部門第2位、
という大ヒットを記録している。

そして、なんと言ってもビートルズの「恋を抱きしめよう」をカバーしているのが大きな特徴。
スティーヴィーは、ソウルフルにかなりフェイクして歌い上げている。
ビートルズ・バージョンは、サビでリズムが三連符にチェンジするという革新的なアレンジがされていたが、
スティーヴィー・バージョンはそのままのリズムで演奏されている。
オリジナルを知っている人は、このあたりいささか物足りなさを感じてしまうかもしれない。
ということで、この曲ではオリジナルのビートルズバージョンの勝利といえそうだ。


ともかく、このアルバムでも、若干20歳とは信じられないほどの歌唱力の成長振りを見せている。
さらに次作以降では、作曲、プロデュースでも恐ろしいまでの才能を見せ付けられることになるのだ。


『マイ・シェリー・アモール』 スティーヴィー・ワンダー

マイ・シェリー・アモール(My Cherie Amour)
スティーヴィー・ワンダー

1969年発表のアルバム。60年代の彼のラブ・バラードの代表的作品とされるタイトル・チューンや全米ソウル・チャート5位を記録したロン・ミラーの名曲「イエスター・ミー」などを収録。

■曲目リスト

1. マイ・シェリー・アモール
2. ハロー・ヤング・ラヴァーズ
3. アット・ラスト
4. ハートに火をつけて
5. いそしぎ
6. 君と僕
7. 真珠
8. 誰かが知っている
9. イエスター・ミー
10. アンジー・ガール
11. ギヴ・ユア・ラヴ
12. あなたは僕のもの


1969年に8月にリリースされた13枚目のアルバム。
「フォー・ワンス・イン・マイ・ライフ」が大ヒットし、
モータウンの若手スターとして人気急上昇の時期で、
ちょうど自ら作詞、作曲、プロデュースを担っていく過渡期にもあたる。

このアルバムでは、自作曲は5曲に過ぎないが、
才能が大変な勢いで開化しはじめている。
当時のスティーヴィーは1ヶ月に150曲もの作品を書いたことさえあったらしい。
・・・単純計算1日に5曲ということになる。すごいエネルギーだ。


タイトルチューン「マイ・シェリー・アモール」は、
スティーヴィーが、ビートルズの「ミシェル」に影響されて作った曲で、
(正直、「ミシェル」には勝てないかも知れないが)
当初シングル「アイ・ドント・ノウ・ホワイ」のB面として発表された。
A面が中ヒットであったのに反して、「マイ・シェリー・アモール」のほうにリクエストが殺到し多くのラジオで流れる事となった。
これを受けてこのアルバムでフィーテャーされることになった。


アルバムのラストにもオリジナル曲が3曲並んでいるが、
どの曲もメロディーが綺麗で、ポップさに驚く。
「ギヴ・ユア・ラヴ」はスタンダードナンバーを聞いているような錯覚にさえとらわれる。
隠れた名曲だと思う。


ロン・ミラーが書いた「イエスター・ミー」は、ポップでコマーシャルな曲で、
10月にシングルカットされ最高7位にまでいく。

他にもドアーズの「ハートに火をつけて」、スタンダード「いそしぎ」を収録するなど、
全体にソウル色が薄れ、サウンド的にも過渡期にあるアルバムだ。



▲マイ・シェリー・アモール


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